村上春樹さんの「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」読みました。
最近の村上さんの作品は、物語というか、現実の中に虚構が入り込んだようなものが続いていた(ねじまき鳥、カフカ、1Q84)ので、これもそうかなと思いましたが、最後まで現実の(?)話でした。
ある意味、「ノルウェーの森」を、中年になって、再解釈しようとしたような感じでした。
大学時代に受けた心の傷について、16年後に探ると案外、納得・和解できたみたいな。
ストーリーは、田崎つくるを含んだ、高校の同級生仲良し5人グループ(アカ、アオ、シロ、クロ、田崎つくる)が、突然、理由も言わず、田崎つくるを仲間ハズレにする。
そのせいで、心の傷を抱えた36才の田崎つくるが、16年前なぜそんな仕打ちを受けたのか、仲間に聞きに行く話…。
当時の仲間に会ううちに、シロという女性が、田崎つくるにレイプされたと話したことから、仲間達はその話を信じ、田崎つくるを切ることにしたというコトを聞く。
そして、そのシロは、精神を病み、30才で誰かに絞殺されて、もうこの世にいないことを田崎つくるは知る。
謎が謎を呼ぶこともなく、淡々と過ぎていく感じでした。
蓋を開いてみる(話を聞いてみる)と、誰も悪いヒトはいないような、そんな感じの結末。
なんとなく夏目漱石の「こころ」を思い起こしました。
あ、エロチックな描写はやはりあります。
毎回思うけど、エロチックな描写は、なくていいのでは…。